法人カードを使っていると、経費の支払いに応じてポイントが貯まります。金額が小さいうちは気にならないものの、年間の利用額が数百万円ともなれば、ポイントも相応の額になります。
ここで出てくるのが「このポイントは会社の収益なのか」「使ったときにどう仕訳するのか」「代表者が個人的に使ってしまったらどうなるのか」という疑問です。結論から言えば、この領域は国税庁の資料でも複数の処理方法が並記されており、一つの正解を断定できる状態にはありません。
この記事では、国税庁が公表している資料に書かれている内容だけを整理し、どこまでが確認できて、どこからが個別判断になるのかを明確にします。

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まず個人の場合の原則を確認する
話の出発点として、個人がポイントをもらって使ったときの扱いを見ておきます。ここが理解の土台になります。
タックスアンサーNo.1907が示していること
国税庁のタックスアンサーNo.1907「個人が企業発行ポイントを取得又は使用した場合の取扱い」(令和7年4月1日現在法令等)では、ドラッグストアで商品を購入した際にポイントの付与を受け、後日そのポイントを商品購入の際に使用した場合について、次のように答えられています。
「通常の商取引における値引きと同様の行為が行われたものとして、確定申告をする必要はありません。」(国税庁タックスアンサーNo.1907より引用)
説明部分では、商品購入に対する通常の商取引における値引きを受けたことによる経済的利益については原則として課税対象となる経済的利益には該当しないものとして取り扱っている、と述べられています。決済代金に応じてその企業から付与されるポイントは、使用した消費者にとって値引きと同様の行為が行われたものと考えられる、という整理です。
例外として挙げられているケース
ただし同じページには注記があります。ポイントを発行する企業が行うポイント付与の抽選キャンペーンに当選するなどして臨時・偶発的に取得したポイントや、共通ポイント制度によりその制度を運営する企業から付与されたポイントを使用した場合には、通常の商取引における値引きと同様の行為が行われたものとは考えられないとされています。
この場合、使用したポイント相当額を、使用の目的に応じ、使用した日の属する年分の一時所得や事業所得など、各種所得金額の計算上、総収入金額に算入するとされています。
つまり、すべてのポイントが一律に課税対象外というわけではありません。どのような仕組みで付与されたポイントかによって、扱いが変わり得るということです。
事業者の経理処理には二つの考え方がある
ここからが法人・個人事業主の話です。
タックスアンサーNo.1907の末尾には、個人事業者が企業発行ポイントを取得または使用した場合の取扱いとして「企業発行ポイントの使用に係る経理処理」という資料が案内されています。この資料には、事業者が備品等を購入する際にポイントを使用した場合の経理処理として、次の二つの方法が考えられると記載されています。
| 処理方法 | 国税庁資料での説明 |
|---|---|
| ①値引処理 | ポイント使用後の支払金額を経費算入する処理 |
| ②両建処理 | ポイント使用前の支払金額を経費算入するとともに、ポイント使用額を雑収入に計上する処理 |
「借方・貸方」「雑収入」といった仕訳の基本から確認しておきたい方は、会計や簿記の入門書を1冊手元に置いておくと、この先の話も追いやすくなります。
資料に示されている仕訳例
同資料には、合計1,090円の買い物で21円分のポイントを使用し、現金1,069円を支払ったケースの仕訳例が示されています。
①値引処理の場合
(借方)消耗品費 1,069円 /(貸方)現金 1,069円
②両建処理の場合
(借方)消耗品費 1,090円 /(貸方)現金 1,069円
(借方)― /(貸方)雑収入 21円
②の借方合計は1,090円、貸方合計は1,069円+21円=1,090円で一致します。①はいずれも1,069円です。
国税庁の資料は、この二つを「次のいずれかの方法が考えられます」という書き方で並べています。どちらか一方が正しくもう一方が誤り、という書き方はされていません。自社がどちらの方法を採用すべきかは、レシートの表示や継続性、会計方針との整合を踏まえた判断になりますので、税理士または所轄の税務署にご確認ください。

消費税の仕入税額控除ではどう考えるのか
所得税・法人税とは別に、消費税の側にも考え方が示されています。
タックスアンサーNo.6480「事業者が商品購入時にポイントを使用した場合の消費税の仕入税額控除の考え方」(令和7年4月1日現在法令等)では、商品購入時にポイントを使用した場合の「課税仕入れに係る支払対価の額」について、次のように整理されています。
| ポイント使用の性質 | 課税仕入れに係る支払対価の額 |
|---|---|
| 商品本体価額の値引きである場合 | 商品対価の合計額からポイント使用相当分の金額を差し引いた金額(値引後の金額) |
| 支払うべき価額の値引きである場合 | 商品対価の合計額(全額) |
そのうえで同ページには、商品購入時に発行されるレシートにはポイント使用の態様に応じて「課税仕入れに係る支払対価の額」が表示されていると考えられるため、商品を購入した事業者においてはレシートの表記から「課税仕入れに係る支払対価の額」を判断して差し支えないと書かれています。
また、即時充当(即時に購買金額にポイント等相当額を充当する方法)による値引きは商品対価の合計額が変わるものではないため、商品対価の合計額が「課税仕入れに係る支払対価の額」となる(支払うべき価額の値引きの場合と同様)という注記もあります。
なお同ページには、消費税の仕入税額控除の適用を受けるためには区分経理に対応した帳簿および適格請求書等の保存が必要であるという注意書きも添えられています。
レシートの表記が判断材料になる以上、ポイントを使った買い物のレシートは捨てずに残しておきたいところです。月ごとに分けて保管できるレシート収納ファイルがあると、あとから探すときに困りません。
役員や従業員が個人的にポイントを使った場合
ここが、この記事で最も注意していただきたい論点です。
経済的利益として扱われる可能性
タックスアンサーNo.5202「役員等に対する経済的利益」(令和7年4月1日現在法令等)では、法人が役員および特殊関係使用人に支給する給与には、金銭によるもののほか、債務の免除による利益その他の経済的な利益も含まれると説明されています。
そして経済的な利益とは、法人の行為によって実質的にその役員等に対して給与を支給したのと同様の経済的効果をもたらすものをいうとされ、その例として12項目が列挙されています。そのうちの10番目に「役員等の個人的費用の負担額」が挙げられています。
損金算入の面でも影響がある
同じページには、経済的利益の法人税法上の取扱いとして、役員に対して継続的に供与される経済的利益のうち供与される利益の額が毎月おおむね一定であるものは定期同額給与に該当して損金の額に算入されるが、その他のものは定期同額給与に該当せず損金の額に算入されない、という説明があります。
さらに、役員に対する経済的利益の額が不相当に高額である場合や、法人が事実を隠蔽しまたは仮装して経理することによりその役員に対して供与した経済的な利益の額は損金の額に算入されないとも書かれています。
会社の経費で貯まったポイントを役員個人が私的に使った場合に、それが上記の「役員等の個人的費用の負担額」にあたるかどうかは、ポイントの帰属や社内での取り決め、金額など個別の事情によって判断が分かれる領域です。この記事で断定することはできません。心当たりがある場合は、自己判断せず税理士または所轄の税務署にご相談ください。

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社内で決めておきたいこと
税務上の判断が個別的である以上、まずやるべきは「事実関係をはっきりさせること」です。
ポイントの帰属をカード会社の規約で確認する
ポイントが誰に帰属するかは、カード会社の会員規約やポイントプログラムの規約に定めがあります。法人カードの場合、契約者は法人であることが一般的ですが、具体的な扱いは契約しているカードによって異なります。まず規約を確認してください。
使い道を社内ルールで決める
- ポイントの交換・利用は誰が行うかを決めておく
- 交換した商品や充当した金額の記録を残す
- 私的な利用を認めるのか認めないのかを明文化する
- 交換のたびに、日付・内容・相当額をメモに残す
記録さえ残っていれば、後から処理方法を検討することはできます。記録がないと、そもそも検討の材料がありません。
日付・内容・相当額を書き留める帳面は、市販の金銭出納帳でも十分に代わりになります。1冊決めておくと、記録の置き場所が散らばりません。
処理方法は継続して適用する
値引処理と両建処理のどちらを採用するにしても、年度によって都合よく変えるのは避けたいところです。会計処理の継続性は、決算書の比較可能性という点でも重要です。
よくある質問
Q1. 法人カードで貯めたポイントは、貯めた時点で収益になりますか?
国税庁が公表している「企業発行ポイントの使用に係る経理処理」で示されているのは、事業者が備品等を購入する際にポイントを使用した場合の経理処理です。付与時点の取扱いについて、この記事では確認できた範囲を超えて記載しません。具体的な処理は税理士または所轄の税務署にご確認ください。
Q2. ポイントを使ったら雑収入に計上しなければいけませんか?
国税庁の資料では、値引処理と両建処理(雑収入に計上する処理)の「いずれかの方法が考えられます」と記載されています。一方の方法に限定する書き方はされていません。
Q3. 消費税の計算では、ポイント使用分を差し引きますか?
タックスアンサーNo.6480では、ポイント使用が商品本体価額の値引きである場合は値引後の金額、支払うべき価額の値引きである場合は商品対価の合計額(全額)が課税仕入れに係る支払対価の額になるとされています。レシートの表記から判断して差し支えないとも書かれています。
Q4. 代表者が会社のポイントで私物を買ったらどうなりますか?
タックスアンサーNo.5202では、経済的利益の例のひとつとして「役員等の個人的費用の負担額」が挙げられています。実際に該当するかどうかは個別の事情によって判断が分かれますので、税理士または所轄の税務署にご確認ください。
Q5. 共通ポイントを事業の支払いに使った場合は?
タックスアンサーNo.1907の注記では、共通ポイント制度によりその制度を運営する企業から付与されたポイントを使用した場合は通常の商取引における値引きと同様の行為とは考えられないとされ、使用の目的に応じて各種所得金額の計算上、総収入金額に算入するとされています。事業者の処理については、国税庁が公表している共通ポイント制度に関する処理例の資料もあわせて確認してください。
Q6. マイルに交換した場合も同じ考え方ですか?
交換先による取扱いの違いについては、この記事で参照した国税庁資料の記載範囲を超えるため、確認できた内容として記載できません。実際の処理は税理士または所轄の税務署にご確認ください。

まとめ
法人カードのポイントをめぐる税務は、国税庁の資料でも複数の処理方法が並記されている領域です。この記事で確認できたのは次の三点です。
- 個人が決済代金に応じて付与されたポイントを使う場合、通常の商取引における値引きと同様の行為として、原則として課税対象となる経済的利益には該当しないと取り扱われている(No.1907)。ただし抽選キャンペーンによる取得など例外がある
- 事業者の経理処理としては、値引処理と両建処理の二つが国税庁資料に並記されている
- 消費税の仕入税額控除では、ポイント使用が本体価額の値引きか支払額の値引きかで支払対価の額が変わり、レシートの表記から判断して差し支えないとされている(No.6480)
そして役員等が個人的にポイントを使った場合は、経済的利益として給与の扱いになる可能性がある論点です。ここは判断が分かれる領域ですので、専門家に確認したうえで処理を決めてください。
原文は国税庁タックスアンサーNo.1907、同No.6480、同No.5202で確認できます。経理処理の資料はNo.1907のページからリンクされています。ポイントの一般的な使い道については中小企業向け法人クレジットカードの比較の記事もご覧ください。
※税務に関する記載は、国税庁タックスアンサーNo.1907・No.5202・No.6480(いずれも令和7年4月1日現在法令等)および国税庁「企業発行ポイントの使用に係る経理処理」に基づいています。実際の税務処理は個別の事情によって異なりますので、税理士または所轄の税務署にご確認ください。
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