任意整理で返済の見通しが立ったあと、次に気になるのが「クレジットカードはいつからまた申し込めるのか」という点です。任意整理は裁判所を通さない手続きなので、自己破産や個人再生とは信用情報への残り方が違います。ここを取り違えたまま待っていると、必要以上に長く待つことにもなりかねません。
この記事では、信用情報機関が公表している登録期間の起点に絞って、任意整理の場合の考え方を整理します。審査基準はどのカード会社も公表していないため、通過を約束する書き方はしません。

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任意整理と、自己破産・個人再生の違い
任意整理は、債権者と直接交渉して返済条件を決め直す手続きです。裁判所を通さないため、官報に公告されません。この点が、信用情報の残り方に直接効いてきます。
全国銀行協会が運営する全国銀行個人信用情報センター(KSC)は、登録する情報の一つとして「官報情報」を挙げています。同協会が公表するパンフレット「全国銀行個人信用情報センターのご案内」では、官報情報の内容を「官報に公告された破産・民事再生開始決定等」と定義し、登録期間を「当該決定日から7年を超えない期間」と記載しています。
KSCの官報情報は破産・民事再生開始決定等が対象です。官報に公告されない任意整理は、この区分の対象になりません。ただし、任意整理の対象になった契約そのものの取引情報は、後述のとおり別の区分で登録されます。
信用情報の区分や登録期間の考え方を落ち着いて整理しておきたい方は、信用情報について解説した本を1冊手元に置いておくと、開示報告書を読むときの助けになります。
任意整理の情報は、どこにどう残るのか
JICC(株式会社日本信用情報機構)
JICCは「信用情報の内容と登録期間」のページで、登録情報を四つの区分に分けています。任意整理に関係するのは「取引事実に関する情報」です。内容は「債権回収、債務整理、保証履行、強制解約、破産申立、債権譲渡等」と明記されており、債務整理がここに含まれます。
登録期間は契約日によって分かれます。
- 契約日が2019年9月30日以前……当該事実の発生日から5年を超えない期間
- 契約日が2019年10月1日以降……契約継続中および契約終了後5年以内
2019年10月1日以降の契約では、起点が「事実の発生日」から「契約終了」に変わっているのが重要な点です。任意整理では和解後も返済が続くため、契約が終了するのは完済した時点になります。つまり、返済期間が長いほど、その後の5年の開始も後ろにずれます。
CIC(株式会社シー・アイ・シー)
CICは「CICが保有する信用情報」のページで、クレジット情報の保有期間を「契約期間中および契約終了後5年以内」と公表しています。お支払状況に関する情報の項目には「入金履歴、異動(延滞・保証履行・破産)の有無、異動発生日、延滞解消日、終了状況等」が挙げられています。
CICの区分には「任意整理」という独立した項目名はありません。ただし任意整理に至る前後で支払いが遅れていれば、その事実が入金履歴や異動として記録されている可能性があります。実際に何が登録されているかは、開示請求をしないと分かりません。
開示報告書や和解書、返済の記録は、あとで起点の日付を確かめるときに必要になります。書類収納用のファイルにまとめて保管しておくと、探す手間が省けます。
三機関の整理(記事執筆時点)
| 機関 | 任意整理に関係する区分 | 公表されている期間 |
|---|---|---|
| CIC | クレジット情報(支払状況・異動の有無を含む) | 契約期間中および契約終了後5年以内 |
| JICC | 取引事実に関する情報(債務整理を明記) | 契約日2019年10月1日以降は契約継続中および契約終了後5年以内 |
| KSC | 取引情報(返済状況を含む) | 契約期間中および契約終了日(完済されていない場合は完済日)から5年を超えない期間 |
KSCについては、官報情報とは別に「取引情報」という区分があり、パンフレットには「ローンやクレジットカード等の契約内容とその返済状況(入金の有無、延滞・代位弁済・強制回収手続等の事実を含む。)の履歴」と記載されています。任意整理の対象にした契約が銀行系だった場合は、こちらの区分で扱われます。

「時期」を考えるときの起点はどこか
任意整理の場合、時期の目安を考える起点として押さえておくべきなのは次の三つです。
- 和解した日ではなく、完済した日……JICC・CIC・KSCとも、2019年10月1日以降の契約や取引情報については契約終了(完済)を起点とする書き方になっています。
- 対象にしなかった契約の扱いも確認する……任意整理は債権者を選んで交渉できます。対象外にした契約の支払状況も、それぞれ登録されています。
- 登録が消えることと審査は別……ここが最も誤解されやすい部分です。
登録が消えても、申し込みが通るとは限らない
カード会社は、自社との過去の取引について独自の記録を保有しています。その保有期間や審査での扱いは各社とも公表していません。俗に「社内ブラック」と呼ばれるのがこの話ですが、公表されていない以上、何年で消えるといった断定はできません。「自社の記録が残っている可能性がある」という理解にとどめてください。
そのため、任意整理の対象にした会社やその系列のカード会社への申し込みは避けたほうがよい、という考え方があります。公表された事実ではないので断定はできませんが、理由としては筋が通っています。
カード会社の審査基準は非公表です。「この期間を過ぎれば申し込みが通る」と書かれた情報は、根拠を確認できないものだと考えてください。反対に、割賦販売法第30条の2はカード会社に対し、カード交付や極度額の増額に先立って年収・預貯金・債務の支払状況・借入れの状況などを調査することを義務づけています。調査を省いた発行は制度上想定されていません。

いま自分でできること
1. 開示請求で「起点の日付」を確認する
待つ期間を推測で決めるより、開示して契約終了日を確認するほうが確実です。CIC・JICC・KSCはいずれも本人開示の制度を用意しています。手続きの流れはクレジットカードの信用情報を確認する方法の記事で解説しています。
2. 完済を優先する
起点が完済日である以上、返済を前倒しで終わらせることは、その後の期間の開始を早めることにつながります。手元に余裕ができたときの優先順位を考える材料になります。
返済額と残高、毎月の収支を書き込み式の家計簿で見える形にしておくと、無理のない範囲でどれくらい前倒しできるかを考えやすくなります。
3. 当面の決済手段を用意する
デビットカードやプリペイドカードは、口座残高やチャージ額の範囲で使う仕組みの決済手段です。ネット通販や公共料金の支払いはこれでまかなえる場面が多くあります。発行条件は商品ごとに異なるため、提供元の公式サイトで確認してください。
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返済や家計で困っているときの相談先
任意整理のあとに支払いが再び苦しくなった場合、早めに相談できる無料の公的窓口があります。
- 公益財団法人日本クレジットカウンセリング協会「多重債務ほっとライン」……公式サイトに「電話相談やカウンセリングは無料」と案内されている公益財団法人です。家計管理の改善についても相談できると記載されています。
- 法テラス(日本司法支援センター)……公式サイトのトップページにサポートダイヤル0570-078374が案内されています。
- 消費者ホットライン188(消費者庁)……地域の消費生活センターや消費生活相談窓口につないでもらえます。

よくある質問
Q1. 任意整理は官報に載りますか?
任意整理は裁判所を通さない手続きなので、官報に公告されません。KSCの官報情報は「官報に公告された破産・民事再生開始決定等」を対象としているため、この区分には該当しません。ただし、対象にした契約の取引情報や返済状況は各機関に登録されます。
Q2. 和解してから5年ですか、完済してから5年ですか?
JICCは契約日2019年10月1日以降の取引事実に関する情報について「契約継続中および契約終了後5年以内」と公表しています。CICのクレジット情報も「契約期間中および契約終了後5年以内」です。KSCの取引情報も契約終了日(完済されていない場合は完済日)を起点としています。いずれも和解日ではなく契約終了が起点になっている点を確認してください。
Q3. 任意整理の対象にしなかったカードは使い続けられますか?
対象外の契約であっても、カード会社は途上与信として利用途上の支払能力の調査を行うことがあります。CICは、加盟会員が利用途上で照会した事実を「利用記録」として保有期間6ヶ月で登録すると公表しています。使い続けられるかどうかを保証できる情報はありません。
Q4. 家族に知られずに手続きできますか?
手続きの進め方や連絡方法は、依頼する専門家や事案によって異なります。心配な点は、依頼する前の相談段階で直接確認してください。日本クレジットカウンセリング協会や法テラスでも相談できます。
Q5. 登録が消えたことを自分で確認できますか?
できます。CIC・JICC・KSCはいずれも本人開示の制度を設けており、インターネットまたは郵送で自分の登録内容を確認できます。手数料や必要書類は改定されることがあるため、申し込む直前に各機関の公式サイトで確認してください。
Q6. 待っている間に信用を積み上げる方法はありますか?
公共料金・家賃・携帯料金といった毎月の支払いを遅らせないことです。特に携帯端末の分割払いは割賦販売法の対象となる取引にあたるため、支払状況が信用情報機関に登録されることがあります。ここを崩さないことが、地味ですが確かな積み重ねになります。
まとめ
任意整理のあとの時期を考えるときに、確認できる事実は次のとおりです。
- 任意整理は官報に公告されないため、KSCの官報情報(決定日から7年を超えない期間)の対象にはならない
- JICCの取引事実に関する情報には債務整理が明記されており、2019年10月1日以降の契約では契約終了後5年以内
- CICのクレジット情報、KSCの取引情報も、いずれも契約終了(完済)を起点とする5年
- 登録期間が過ぎることと、審査に通ることは別の話
起点は和解した日ではなく、完済した日。ここを押さえたうえで、開示請求で自分の契約終了日を確認するのが、いちばん確かな進め方です。申し込みが通らなかったときの考え方はクレジットカードの審査に落ちた理由の記事もあわせてご覧ください。
各機関の公表内容はJICC「信用情報の内容と登録期間」、CIC「CICが保有する信用情報」、全国銀行個人信用情報センターで確認できます。
※本記事は記事執筆時点で各信用情報機関および官公庁が公表している内容にもとづいています。登録期間や手続きは変更される場合がありますので、実際の手続きの際は各機関の公式サイトで最新の情報をご確認ください。個別の法的な判断については、弁護士・司法書士などの専門家または上記の公的相談窓口にご相談ください。
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