自己破産の手続きを終えたあと、クレジットカードをまた持てるようになるのはいつなのか。返済の苦しさをくぐり抜けた方ほど、この点が気になるはずです。
この記事では、信用情報機関が公式に公表している登録期間だけを根拠にして、状況を整理します。カード会社の審査基準そのものは公表されていないため、通過を約束するような書き方はしません。かわりに、確認できる事実と、確認できない部分の境目をはっきりさせます。

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まず前提:「ブラックリスト」という名前のリストは存在しない
よく使われる「ブラックリスト」という言葉ですが、そういう名称のリストは実在しません。実際に起きているのは、信用情報機関に登録されている自分の情報の中に、支払いが滞った事実や法的な手続きの事実が記録されている、という状態です。
たとえば株式会社シー・アイ・シー(CIC)の場合、契約内容や支払状況を表す「クレジット情報」の中に、お支払状況に関する情報として「異動(延滞・保証履行・破産)の有無、異動発生日、延滞解消日」といった項目が含まれると公表されています。リストに名前が載るのではなく、自分の契約情報に項目が付く、という構造です。
「ブラックリストに載る」ではなく「事故情報(異動情報)が登録されている状態」。この言い換えができると、どこに何を確認すればいいのかが見えてきます。
信用情報の仕組みを、焦らず一度きちんと理解しておきたい方は、信用情報について解説した本を手元に置いておくと、開示報告書を読むときの助けになります。
自己破産の情報は、どこに、どれくらい登録されるのか
個人の信用情報を扱う機関は国内に三つあり、それぞれ登録期間の定め方が違います。一律に「5年」「10年」と決まっているわけではありません。記事執筆時点で各機関が公表している内容を、そのまま整理します。
CIC(株式会社シー・アイ・シー)
CICの「CICが保有する信用情報」のページでは、加盟会員から登録される情報の保有期間が次のように公表されています。
- クレジット情報(契約内容・支払状況、異動の有無を含む)……契約期間中および契約終了後5年以内
- 申込情報……照会日より6ヶ月間
- 利用記録……利用日より6ヶ月間
破産の事実は、独立した項目としてではなく、クレジット情報の「異動」の一部として扱われる形になっています。したがって起点は「契約終了」であって、破産を申し立てた日ではありません。この違いは実務上とても大きい部分です。
JICC(株式会社日本信用情報機構)
JICCの「信用情報の内容と登録期間」のページでは、破産申立を含む「取引事実に関する情報」について、契約日によって扱いが分かれると公表されています。
- 契約日が2019年9月30日以前……当該事実の発生日から5年を超えない期間
- 契約日が2019年10月1日以降……契約継続中および契約終了後5年以内
同じ機関の中でも、いつ結んだ契約かによって期間の数え方が変わります。自分の契約がどちらに当たるかは、開示請求をしないと分かりません。
KSC(全国銀行個人信用情報センター)
全国銀行協会が運営するKSCは、他の二機関にはない「官報情報」という区分を持っています。全国銀行協会が公表しているパンフレット「全国銀行個人信用情報センターのご案内」には、次のように記載されています。
官報情報=官報に公告された破産・民事再生開始決定等。登録期間は当該決定日から7年を超えない期間。なお同資料には「免責決定等の情報は登録されません」との注記もあります。
この7年という期間は、もともと10年でした。全国銀行協会は2022年11月4日付のお知らせで、不渡情報の登録取りやめとあわせて官報情報の登録期間を10年間から7年間に短縮したと公表しています。古い解説記事に「10年」と書かれていることがあるのは、この改定より前の情報が残っているためです。
三機関の比較(記事執筆時点)
| 機関 | 破産に関わる情報の区分 | 公表されている期間 |
|---|---|---|
| CIC | クレジット情報の「異動(延滞・保証履行・破産)」 | 契約期間中および契約終了後5年以内 |
| JICC | 取引事実に関する情報(破産申立等) | 契約日2019年10月1日以降は契約継続中および契約終了後5年以内 |
| KSC | 官報情報(破産・民事再生開始決定等) | 当該決定日から7年を超えない期間 |
加盟している会社の顔ぶれも機関ごとに違います。銀行系のカードはKSCを、信販系はCICを、消費者金融系はJICCを主に利用する形になっていますが、三機関は相互に情報を交流しているため、どこか一つだけを見れば済むという話ではありません。

登録が消えることと、申し込みが通ることは別の話
ここが一番誤解されやすい部分です。信用情報機関の登録期間が過ぎたからといって、カードの申し込みが通るようになるとは限りません。理由は二つあります。
理由1:カード会社は自社の記録も持っている
カード会社は、自社との過去の取引について独自に記録を保有しています。その保有期間や、審査でどう扱われるかは各社とも公表していません。俗に「社内ブラック」と呼ばれる話がこれにあたりますが、公表されていない以上、期間や扱いを断定して書くことはできません。あくまで「自社の記録が残っている可能性がある」という程度に理解しておくのが正確です。
理由2:審査基準そのものが公表されていない
クレジットカードの審査基準は、どの会社も公表していません。年収がいくら以上なら通る、といった数値の線引きは外部から確認する手段がないのが実情です。「これをすれば通りやすくなる」と書かれた情報の多くは、根拠が示せないものだと考えてください。
「審査を行わずに発行できる」とうたうカードや業者の案内には注意してください。割賦販売法第30条の2は、カード等を交付しようとする場合に、年収、預貯金、信用購入あっせんに係る債務の支払の状況、借入れの状況などを調査しなければならないとカード会社に義務づけています。調査を行わない発行は、そもそも制度上想定されていません。
債務整理をした会社の系列は避けたほうがよい、と言われる理由
過去に自己破産の手続きで債権者に含めた会社や、その系列のカード会社への申し込みは避けたほうがよい、という考え方があります。これは、その会社が自社の記録を保有している可能性が高いためです。各社が公表している事実ではないため断定はできませんが、理由としては筋の通った話です。申し込み先を選ぶときの一つの目安として覚えておくとよいでしょう。

申し込みの前に、自分でできること
1. 自分の信用情報を開示して確認する
三つの機関はいずれも本人開示の制度を用意しており、自分の登録内容を確認できます。推測で待ち続けるより、実際に開示して起点の日付を確認するほうが確実です。手続きの具体的な流れはクレジットカードの信用情報を確認する方法の記事で解説しています。
届いた開示報告書は、次に確認するときに見比べられるよう、日付ごとにファイルへまとめて保管しておくと便利です。
2. 公表されている申込条件を読む
審査基準は公表されていませんが、申込条件は各カードの公式サイトに書かれています。たとえば三井住友カード ビジネスオーナーズ(一般)は、公式サイトのカード概要欄で申し込み対象を「満18歳以上(高校生は除く)の法人代表者、個人事業主(副業、フリーランスを含む)の方」と公表しています。自分がその対象に入っているかどうかは、申し込む前に読めば分かります。
3. 当面の決済手段を確保する
カードの発行を待っている間も、日々の支払いは続きます。銀行口座から即時に引き落とされるデビットカードや、あらかじめ入金して使うプリペイドカードという選択肢があります。ネット決済や公共料金の支払いは、こうした手段でまかなえる場面が多くあります。発行条件は商品ごとに異なるため、提供元の公式サイトで確認してください。
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返済や生活で困っているときの相談先
手続きを終えたあとも、家計の立て直しに不安が残ることはあります。無料で相談できる公的な窓口があります。
- 公益財団法人日本クレジットカウンセリング協会「多重債務ほっとライン」……クレジットや消費者ローンの債務について、電話相談とカウンセリングを行っている公益財団法人です。公式サイトに「電話相談やカウンセリングは無料」と案内されています。
- 法テラス(日本司法支援センター)……国が設立した法的トラブルの総合案内所です。公式サイトのトップページにサポートダイヤル0570-078374が案内されています。
- 消費者ホットライン188(消費者庁)……お住まいの地域の消費生活センターや消費生活相談窓口につないでもらえる番号です。
「事故情報を消します」といった勧誘は、信用情報機関の仕組み上ありえないものです。CICは、登録期間が過ぎた情報は自動的に抹消されると公表しています。費用を求められた時点で、上記の相談窓口へ連絡してください。

よくある質問
Q1. 自己破産の情報は、7年で消えるということですか?
KSCが公表しているのは「官報に公告された破産・民事再生開始決定等」について、当該決定日から7年を超えない期間という内容です。CICとJICCは区分も起点も異なります。三機関で扱いが違うため、一律に何年とは言えません。ご自身の登録内容は開示請求で確認してください。
Q2. 登録が消えたかどうかは、どうすれば分かりますか?
各機関の本人開示制度を利用して確認します。CIC・JICC・KSCはいずれもインターネットまたは郵送での開示手続きを案内しています。手数料と必要書類は機関ごとに異なり、改定されることもあるため、申し込む直前に各機関の公式サイトで確認してください。
Q3. 登録が消えたら申し込みは通りますか?
そうとは限りません。カード会社は自社の取引記録も保有しており、その扱いは公表されていません。また審査基準そのものが非公表です。通過を保証できる情報は存在しないと考えてください。
Q4. 家族カードなら持てますか?
家族カードは本会員の契約に付随して発行されるもので、申し込み条件はカード会社ごとに公表されています。ただし本会員の側に審査があります。詳細は発行を検討しているカードの公式サイトで確認してください。
Q5. 携帯電話の分割払いも信用情報に関係しますか?
端末代金の分割払いは割賦販売法の対象となる取引にあたるため、契約内容や支払状況が信用情報機関に登録されることがあります。開示報告書に携帯会社の名前が並ぶのはこのためです。
Q6. 情報が消えるまでの間にやっておくとよいことはありますか?
公共料金や家賃、携帯料金といった毎月の支払いを遅らせないこと、そして家計の収支を把握しておくことです。近道はありませんが、支払いを滞らせない実績を積み重ねること自体は、生活の立て直しとして意味があります。
毎月の収支と支払い日を書き込み式の家計簿に書き出しておくと、引き落としの前に残高を確かめる習慣がつきやすくなります。
まとめ
自己破産のあとにクレジットカードを考えるときに、確認できるのは次の三点です。
- 信用情報機関ごとに公表されている登録期間(CIC・JICCは契約終了後5年以内、KSCの官報情報は決定日から7年を超えない期間)
- 登録が消えることと審査に通ることは別だという点(カード会社の自社記録と審査基準は非公表)
- 各カードが公式サイトで公表している申し込み対象
逆に言えば、これ以外のことは確認できません。近道を語る情報には根拠がありません。まずは開示請求で自分の状態を正確に知るところから始めてください。落ちた原因の考え方についてはクレジットカードの審査に落ちた理由の記事もあわせてご覧ください。
各機関の公表内容はCIC「CICが保有する信用情報」、JICC「信用情報の内容と登録期間」、全国銀行個人信用情報センターで確認できます。
※本記事は記事執筆時点で各信用情報機関および官公庁が公表している内容にもとづいています。登録期間や手続きは変更される場合がありますので、実際の手続きの際は各機関の公式サイトで最新の情報をご確認ください。個別の法的な判断については、弁護士・司法書士などの専門家または上記の公的相談窓口にご相談ください。
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