カードが1枚だけなら、明細を見るのはそのカード会社のアプリで済みます。ところが2枚、3枚と増えると状況が変わります。アプリを3つ開いて、3つの数字を足さないと今月いくら使ったのかわからないという状態になり、そのうち見なくなります。
これを解決するのが家計簿アプリです。複数のカードや銀行口座をひとつの画面にまとめ、支出を自動で分類してくれます。
ただし、思いつきで連携を始めると高い確率でつまずきます。無料でつなげる件数には上限があり、その数はサービスによって10倍以上違うからです。この記事では、実際に連携作業を始める前に決めておきたいことを整理します。個別のサービスの設定手順は、それぞれの記事にまとめてあります。

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そもそも、なぜカードは家計簿アプリと相性がいいのか
現金で払った分は、レシートを取っておかないと記録に残りません。一方でクレジットカードは、使った時点で自動的にデータが作られています。誰かが記録してくれている状態です。
家計簿アプリがやっているのは、そのデータを取ってきて、カテゴリに振り分けて、グラフにすることです。つまりカードで払っている支出が多いほど、家計簿アプリの自動化の恩恵は大きくなります。
逆に言えば、現金払いが中心の人ほど自動化の効果は薄くなります。カードでの支払いを増やすこと自体が、家計を見える化する近道になるという関係です。カードでの家計管理の考え方はクレジットカードで家計管理を楽にする7つのコツにまとめています。
とはいえ、現金で払う場面をゼロにするのは難しいものです。現金払いの分は、レシートを1か所にまとめておける収納ファイルを用意しておくと、あとから家計簿アプリに手入力するときに探さずに済みます。
連携する前に決めること1|無料の枠に収まるか
ここがいちばん重要です。家計簿アプリの無料プランには、つなげる金融サービスの数に上限があります。そしてその数は、サービスによって大きく違います。
| サービス | 無料で連携できる件数 | 有料にすると |
|---|---|---|
| マネーフォワード ME | 4件まで | 制限なし |
| Moneytree | 50件まで | 50件まで(無料と同じ) |
※記事執筆時点で各社の公式ヘルプに掲載されている内容です。
マネーフォワード MEの公式ヘルプには「変更前:アプリおよびWEB版での金融関連サービスの連携可能数 10件」「変更後:アプリおよびWEB版での金融関連サービスの連携可能数 4件」と記載されており、2022年12月7日に変更されたことがわかります。
一方Moneytreeの公式ヘルプには「1つのMoneytreeアカウントにご登録いただける金融サービスの数は、無料会員・有料会員を問わず、50までとなっております」とあります。
ここでいう「件数」は、クレジットカードだけの数ではありません。銀行口座、証券口座、電子マネー、ポイントサービスもすべて1件としてカウントされます。Moneytreeの公式ヘルプには「ポイントカード1枚も、1つの金融サービスとしてカウントいたします」と明記されています。給与が振り込まれる銀行と、貯蓄用の銀行と、カードを2枚。これでマネーフォワード MEの無料枠は埋まります。
カウントの仕方にも差がある
Moneytreeの公式ヘルプにはもうひとつ、実用上重要な記載があります。「1つのログイン情報で複数の口座やカードが参照可能な場合は、口座・カード数に関わらず1つの金融サービスとしてカウントいたします」。
同じカード会社で何枚も発行している場合、Moneytreeでは1件として扱われるということです。同一発行会社のカードを複数持っている方には効いてきます。
連携する前に決めること2|どこまでさかのぼって見たいか
無料プランには、過去のデータをどこまで見られるかという制限もあります。
マネーフォワード MEの公式ヘルプ「データの閲覧可能期間について教えてください」には、無料版サービスについて「過去1年間のデータを閲覧いただけます」、プレミアムサービスについて「過去データの閲覧について制限はございません」と記載されています。
Moneytreeの公式の比較表では、無料版でも「データの永年保存」は○になっている一方、「過去のデータ全ての閲覧(制限なし)」は×です。データは残るが、無料では全部は見られないという整理です。
マネーフォワード MEの公式ヘルプは、無料版の制限について「無料版サービスのデータを含めて、可能な限りデータを保管する方針をとっております」としたうえで、「無料版サービスの閲覧制限により表示されていない1年以上前の過去データも、プレミアムサービスにご加入いただくことで制限が解除されます」と説明しています。今は無料で貯めておいて、必要になったら有料にして振り返るという使い方が成立します。
年単位で比較したいなら、この制限は無視できない
「去年の同じ月と比べてどうか」を見たいなら、過去1年分では足りません。1年前の同じ月がぎりぎり境界にかかるためです。年ごとの変化を追いたいなら、有料プランか、別の手段でデータを手元に残しておく必要があります。
いちばん手軽な「別の手段」は、月ごとの合計だけを紙に書き残しておくことです。書き込み式の家計簿に毎月の支出合計を1行ずつ記録しておけば、無料プランのままでも年ごとの比較ができます。
連携する前に決めること3|データを書き出したいか
取り込んだ明細をExcelで自由に集計したい、という場合は書き出し機能が必要になります。ここも無料と有料の分かれ目です。
マネーフォワード MEの公式のプラン比較表では「CSVダウンロード」が無料会員は×、プレミアムサービスは○です。
Moneytreeの公式ヘルプ「銀行やカードの明細をダウンロードできますか?」には「サブスクリプションをお申し込みいただきますと、銀行やカードの明細のダウンロードが可能となります」とあり、やはり有料機能です。さらにプランによって出力できる期間が違い、「Grow:出力できるデータは、前年の年初から出力日当日まで(最長過去2年分)」「Work、Corporate:期間の制限はございません」と記載されています。
家計簿アプリを経由せずCSVを手に入れる方法もある
実は、書き出しだけが目的なら家計簿アプリを使わなくても済みます。カード会社の会員サイトから直接CSVを落とせばいいからです。
ただし、こちらにも会社ごとの条件があります。楽天カードの公式FAQには「CSV形式のダウンロードは、パソコン版楽天e-NAVIからのみ可能です」とあり、JCBの公式FAQには「ダウンロードは1ヵ月分のみ可能です」と書かれています。詳しくはクレジットカード明細のCSVダウンロード方法で整理しました。

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使い方から逆算した選び方
順位をつける話ではないので、使い方のパターンごとに整理します。
| こういう状況の人 | 向いている選択 | 理由 |
|---|---|---|
| カードや口座を合わせて5件以上つなぎたい/無料で使いたい | Moneytree | 無料・有料を問わず50件まで登録できると公式に記載 |
| つなぐのは4件以内/自動更新の手間を減らしたい | マネーフォワード ME | 無料枠に収まるうえ、有料にすれば自動更新頻度が「高い」と公式の比較表に記載 |
| 同じカード会社のカードを何枚も持っている | Moneytree | 1つのログイン情報で参照できるものは1件としてカウントされる |
| 1社のカードに支出が集中している | カード会社の公式アプリで足りる場合も | 楽天カードアプリのように家計簿機能を内蔵しているアプリもある |
| 過去数年分を振り返りたい | 有料プランを検討 | どちらのサービスも過去データの全閲覧は有料機能 |
| 明細をExcelで加工したい | 有料プラン、またはカード会社から直接CSV | 書き出しは両サービスとも有料機能 |
それぞれの設定手順と細かい制限は、個別の記事にまとめてあります。
連携する順番の決め方
枠が限られている場合、何から埋めるかで使い勝手が変わります。優先順位の考え方を示します。
まず:メインの銀行口座
家賃、光熱費、カードの引き落としが集まる口座です。ここが入っていないと、支出の全体像が描けません。
次に:支出の中心になっているクレジットカード
月の利用額がいちばん大きい1枚。ここを押さえるだけで、可視化される金額の大部分がカバーされます。
その次:2枚目のカード
用途を分けて使っている場合、2枚目まで入れると使い分けの実態が見えます。
そのあと:よく使う電子マネーやコード決済
チャージ元がカードなら二重に計上されないよう注意が必要ですが、現金チャージしているなら入れる価値があります。
最後に:証券口座、ポイントサービス、ほとんど使わないカード
資産全体を見たいなら証券口座も入りますが、支出の把握が目的なら後回しで構いません。
カードと電子マネーの二重計上に注意
クレジットカードからチャージしている電子マネーを両方連携すると、同じ支出が2回記録されることがあります。チャージした時点でカード側に計上され、使った時点で電子マネー側にも計上されるためです。
Moneytreeの公式ヘルプには「カードと銀行の明細で支出の重複を解消する方法」という記事が用意されており、こうした重複への対処法が案内されています。連携したあとに数字が合わないと感じたら、まず重複を疑ってください。
連携して終わりにしないための運用
家計簿アプリでいちばん多い失敗は、つないだ直後だけ熱心に見て、そのあと開かなくなることです。
見る日を決める
毎日開く必要はありません。カードの明細は使った瞬間に反映されるわけではないからです。イオンカードの公式FAQには、正式な利用情報の反映について「通常2〜14日後」という記載があります。週に1回、あるいはカードの締め日の後に見るくらいのペースが現実的です。
異常に気づく役割は通知に任せる
家計簿アプリは「振り返る」道具であって、「その場で気づく」道具ではありません。不正利用に早く気づきたいなら、カード会社の利用通知を設定する方が確実です。設定方法と、通知が届かない条件についてはクレジットカードの利用通知を設定する方法にまとめました。
カード会社の公式アプリと併用する
家計簿アプリでは支出の全体像を見て、設定変更やポイントの管理はカード会社の公式アプリで行います。この分担にすると、どちらも無理なく使えます。公式アプリでできることはクレジットカードの公式アプリでできることで比べています。
家計簿アプリにカード会社のIDとパスワードを預ける形になる連携方式もあります。使うサービスのセキュリティ方針を確認したうえで、パスワードは他のサービスと使い回さない、二要素認証を設定できるなら設定する、といった基本を守ってください。連携をやめたくなったときの削除手順も、事前に確認しておくと安心です。
事業用のカードは会計ソフトという選択肢もある
個人事業主やフリーランスの方で、事業用のカードをまとめたい場合は、家計簿アプリではなく会計ソフトの方が目的に合います。仕訳まで一気に進められるからです。
freee会計の場合、公式ヘルプに「銀行・クレカの明細取得」が全プラン共通の機能として案内されており、連携の手順も公開されています。設定の流れはfreeeにクレジットカードを連携する設定手順にまとめました。
家計簿アプリと会計ソフトの違いは、出口です。家計簿アプリは「見る」ところまで、会計ソフトは「申告する」ところまでを担当します。事業用と家庭用が混ざっているなら、まずカードを分けるところから始めるのが結果的にいちばん早くなります。
カードを分けたら、財布の中でも取り違えないようにしておきたいところです。事業用のカードだけを薄型のカードケースに入れておくと、支払いのたびに迷わずに済みます。

よくある質問
Q1. 家計簿アプリは無料でも使えますか?
使えます。ただし連携できる件数や、過去データの閲覧期間に制限があります。マネーフォワード MEは無料会員で4件まで、Moneytreeは無料・有料を問わず50件までと、公式にそれぞれ記載されています。
Q2. カードを4枚持っています。無料で全部つなげますか?
マネーフォワード MEの無料会員なら、カード4枚で枠がちょうど埋まり、銀行口座は登録できません。Moneytreeなら50件までなので余裕があります。ただし更新の自動化など、他の面で違いがあるため件数だけで決めるのは避けてください。
Q3. 明細はどのくらいで反映されますか?
カード会社側で確定するまで時間がかかります。イオンカードは正式な利用情報の反映を「通常2〜14日後」と公式FAQで案内しています。家計簿アプリはそのデータを取ってくる立場なので、カード会社より早くなることはありません。
Q4. 電子マネーへのチャージが二重に記録されます。
カードと電子マネーの両方を連携していると起きる現象です。Moneytreeの公式ヘルプには「カードと銀行の明細で支出の重複を解消する方法」という記事があります。使っているサービスのヘルプで、重複の扱い方を確認してください。
Q5. 家計簿アプリで不正利用に気づけますか?
反映に時間がかかるため、気づく手段としては遅くなります。その場で気づきたいなら、カード会社の利用通知を設定する方が確実です。ただし通知には対象外の条件があるので、両方を組み合わせるのが安全です。
Q6. 途中で別の家計簿アプリに乗り換えられますか?
連携をやり直せば乗り換えられます。ただし過去のデータが引き継がれるとは限りません。Moneytreeの公式ヘルプには「ご登録の金融サービスを削除すると全て過去の記録と関連データが削除され、復元することは出来ません」という注意も記載されています。乗り換える前に、必要なデータを書き出しておくのが安全です。
Q7. カードが1枚だけでも家計簿アプリは必要ですか?
必須ではありません。1枚だけなら、そのカード会社の公式アプリで足りることが多いです。楽天カードアプリのように家計簿機能を内蔵しているものもあります。カードが増えてから検討しても遅くありません。
まとめ
複数のカードを家計簿アプリでまとめるとき、先に決めておきたいことを整理します。
・無料で連携できる件数はサービスによって大きく違う(マネーフォワード MEは4件まで、Moneytreeは50件まで)
・件数はカードだけでなく銀行・証券・電子マネー・ポイントも含めた合計
・過去データの閲覧期間にも制限がある。マネーフォワード MEの無料版は過去1年分
・データの書き出し(CSV)は、どちらのサービスも有料プランの機能
・連携する順番はメイン銀行 → メインカード → 2枚目のカード
・カードと電子マネーの二重計上に注意する
・家計簿アプリは「振り返る」道具。「その場で気づく」役割はカード会社の利用通知に任せる
・事業用のカードなら、家計簿アプリより会計ソフトの方が目的に合う
参照した公式の情報源は以下です。仕様は改定されることがあるので、最新の内容は公式ページでご確認ください。
- マネーフォワード ME ヘルプ「無料会員における金融関連サービス連携上限数の変更のお知らせ」
- マネーフォワード ME ヘルプ「データの閲覧可能期間について教えてください」
- Moneytree プランと料金
- イオンカード よくあるご質問「カードご利用通知サービスとはなんですか。」

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