会社員をやめてフリーランスになったあと、クレジットカードの申込フォームを開いて手が止まる。「勤務先」「勤続年数」「職業」の欄に何を書けばいいのか分からない、そもそも自分は申し込めるのか。ここでつまずく方は多いはずです。
この記事では、カード会社が公式サイトで公表している申し込み対象と必要書類だけを根拠に、フリーランス・個人事業主が申し込みの前に確認できることを整理します。審査基準はどの会社も公表していないため、通過を約束するような書き方はしません。

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大前提:審査基準は公表されていない
先にはっきりさせておきます。クレジットカードの審査基準は、どのカード会社も公表していません。年収がいくらなら通る、事業年数が何年必要、といった数値の線引きは、外部から確認する手段がありません。
「フリーランスはこう書けば通りやすい」といった申告のコツを説明する情報を見かけることがありますが、公式に根拠のあるものではありません。この記事では扱いません。かわりに、公表されていて確認できる部分だけを丁寧に見ていきます。
公表されている申し込み対象を読む
個人事業主・フリーランスが対象に明記されているカード
三井住友カード ビジネスオーナーズ(一般)は、公式サイトのカード概要欄で、お申し込み対象を次のように公表しています。
「満18歳以上(高校生は除く)の法人代表者、個人事業主(副業、フリーランスを含む)の方」(三井住友カード ビジネスオーナーズ カード概要より)
年会費は「本会員、パートナー会員ともに永年無料」と記載されています。
ここで注目したいのは、副業とフリーランスが対象として明示的に書かれている点です。事業を法人化していなくても対象に含まれることが、公式サイトの一行で確認できます。
同じ会社でも、カードによって対象が違う
同じ三井住友カードでも、法人向けのカードは対象が異なります。「法人カード」というくくりで見ると、個人事業主が対象になるものとならないものが混ざっています。申し込む前に、そのカードのカード概要欄にある「お申し込み対象」の一行を先に読んでください。ここは公表されているので、どなたでも確認できます。
決済口座の条件も確認する
見落とされやすいのが決済口座の条件です。三井住友カード ビジネスオーナーズは、決済口座について「お申し込みご本人の法人名義口座・個人名義口座(屋号付含む)」と記載し、あわせて「個人事業主の方は、法人名義口座をご指定いただけません」と注記しています。
屋号付きの口座を持っていない場合でも個人名義の口座で申し込める、という点は、開業して間もない方にとって実務上の意味があります。
開業して間もない時期は、口座の準備や帳簿づけ、確定申告の準備が重なりがちです。個人事業主向けに会計の基本をまとめた本を1冊手元に置いておくと、全体の流れをつかみやすくなります。

収入を証明する書類について
カード会社が収入の裏づけを求めることがあるのは、法律上の調査義務があるためです。割賦販売法第30条の2第1項は、カードを交付・付与する場合や極度額を増額する場合に、年収、預貯金、信用購入あつせんに係る債務の支払の状況、借入れの状況などを調査しなければならないとカード会社に義務づけています。
提出を求められる書類について、三井住友カードの会員規約(個人会員用)第15条第6項には次の定めがあります。
「当社は、貸金業法に基づき、会員に源泉徴収票、確定申告書その他の資力を明らかにする書面の提出を求めるとともに、勤務先や収入等の確認を求めることができるものとします」(三井住友カード会員規約 個人会員用 第15条第6項)
フリーランスの場合、源泉徴収票のかわりになるのは確定申告書の控えです。実際にどの書類が必要かはカードごとに公表されているので、申し込むカードの公式サイトで確認してください。この記事で「これを出せば通る」といった書き方はしません。
確定申告書の控えをすぐ出せるようにしておくためにも、申告の流れを一度整理しておくと安心です。確定申告の手順を1冊で確認できる本もあるので、気になる方はチェックしてみてください。
申込内容は実態のとおりに書く
職業欄や年収欄をどう書くかについて、公式に案内のない書き方をこちらで推測して示すことはしません。確かなのは、実態と違う申告をしないことです。
三井住友カードの会員規約(個人会員用)第23条第1項第1号は、申込に際して氏名・住所・勤務先・年収・家族構成等について虚偽の申告をした場合を、通知・催告等をせずに会員資格を取り消せる事由として挙げています。同規約第22条第2項により、資格を取り消された場合は一部の債務を除いて期限の利益を失い、直ちに全額を支払うことになると定められています。
年収の書き方で迷ったら、確定申告書の控えを手元に置いて、その数字を根拠にしてください。根拠のある数字を書くことが、いちばん安全な進め方です。申告内容と法律の関係についてはクレジットカードの申し込みで収入を偽るとどうなるかの記事で詳しく扱っています。
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会社員のうちに作っておく、という考え方について
独立を予定している方から「会社員のうちにカードを作っておいたほうがよいのか」という話をよく聞きます。この点について言えるのは、申込フォームに勤務先や勤続年数の入力欄を設けているカードがあるという事実までです。それが審査でどう扱われるかは公表されていないため、有利になるとは書けません。
ただし、独立後に届け出が必要になることは規約に明記されています。三井住友カードの会員規約第4条は、届け出た職業や勤務先に変更が生じた場合、会員は遅滞なく所定の方法により届け出るものとしています。会社員時代に作ったカードを、独立後もそのままにしておくことはできません。この点は覚えておいてください。届け出の実務はクレジットカードと転職のタイミングの記事で扱っています。

事業用と生活用を分ける意味
フリーランスがカードを検討するとき、経費の管理という目的も出てきます。事業用の支払いを1枚にまとめておくと、明細がそのまま記録になります。
ただし注意点があります。三井住友カード ビジネスオーナーズのカード概要欄には、カード利用枠について「本会員がお持ちの個人カードと合算」という注記があります。同じ発行会社の中では枠が別々に増えるとは限らないということです。枚数を増やす目的が「枠を広げること」なら、思ったとおりにならない場合があります。
経費の仕訳の考え方については個人事業主がビジネスカードに申し込む前に確認することの記事もあわせてご覧ください。
カードの明細とあわせて、紙の領収書やレシートも月ごとにファイルへまとめておくと、確定申告の時期にあわてずに済みます。
申し込み前のチェックリスト
ここまでの内容を、申し込む前に確認する順番に並べ直しておきます。
- そのカードのカード概要欄にある「お申し込み対象」を読む(個人事業主・フリーランスが含まれているか)
- 年齢の条件を確認する(三井住友カード ビジネスオーナーズは満18歳以上、高校生を除くと公表)
- 決済口座に指定できる名義の条件を確認する
- 必要書類として何が挙げられているかを確認する
- 確定申告書の控えなど、収入の根拠になる書類を手元に用意する
- 年会費と、その優遇条件があるかを確認する
この六つは、いずれも公式サイトを開けば確認できることばかりです。審査の中身を推測する時間を、ここに使ったほうが実りがあります。

よくある質問
Q1. フリーランスでもクレジットカードに申し込めますか?
申し込み対象に個人事業主・フリーランスを明記しているカードはあります。三井住友カード ビジネスオーナーズ(一般)は「満18歳以上(高校生は除く)の法人代表者、個人事業主(副業、フリーランスを含む)の方」を対象として公表しています。ただし審査基準は非公表なので、通過を保証できる情報はありません。
Q2. 開業したばかりで確定申告をまだしていません。
必要書類はカードごとに公表されています。検討しているカードの公式サイトで「お申し込みの流れ」や必要書類の欄を確認してください。書類の提出要件と審査は別のものである点にも注意が必要です。
Q3. 副業でも個人事業主向けのカードに申し込めますか?
三井住友カード ビジネスオーナーズの申し込み対象には「個人事業主(副業、フリーランスを含む)の方」と明記されています。カードによって扱いが異なるため、申し込み対象欄を確認してください。
Q4. 年収欄には売上を書きますか、所得を書きますか?
入力欄の定義はカード会社ごとに異なり、フォーム上に注記が置かれている場合があります。注記がなく判断がつかない場合は、そのカード会社のお問い合わせ窓口で確認してください。推測で書かないことが大切です。
Q5. 屋号付きの口座がないと申し込めませんか?
三井住友カード ビジネスオーナーズは決済口座として「お申し込みご本人の法人名義口座・個人名義口座(屋号付含む)」と記載しています。カードごとに条件が異なるため、公式サイトで確認してください。
Q6. 審査に落ちた理由は教えてもらえますか?
カード会社は個別の審査結果の理由を開示していません。理由を推測した情報も多く見かけますが、根拠が確認できるものではありません。落ちたときの考え方はクレジットカードの審査に落ちた理由の記事で扱っています。
まとめ
フリーランスがクレジットカードに申し込むときに確認できるのは、次の三点です。
- そのカードの申し込み対象に個人事業主・フリーランスが含まれているか(カード概要欄で確認できる)
- 必要書類として何が求められているか(各社が公表している)
- 決済口座に指定できる名義の口座を持っているか
審査基準は公表されていないため、通過を約束する方法は存在しません。公表されている条件に自分が当てはまるカードを選び、申込内容を実態のとおりに書くことです。できるのはここまでで、それで十分です。
各カードの条件は三井住友カード ビジネスオーナーズの公式ページで確認できます。会員規約は三井住友カードの各種規約ページ、割賦販売法の条文はe-Gov法令検索で読めます。
※本記事は記事執筆時点でカード会社および法令が公表している内容にもとづいています。申し込み条件・必要書類・年会費は変更される場合がありますので、申し込み前に各カード会社の公式サイトで最新の情報をご確認ください。この記事は審査の結果について何らかの保証をするものではありません。税務の取り扱いについては、税理士または所轄の税務署にご確認ください。
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