クレジットカードの海外旅行保険は、付いていること自体は知っていても、いざ使う段になると手が止まります。どこに電話すればいいのか、いつまでに連絡すればいいのか、何を持ち帰ればいいのか。旅先でケガをしたり荷物を盗まれたりした状況では、調べる余裕もありません。
保険金の請求には期限があり、期限を過ぎると受け取れなくなる可能性があります。この記事では、実際に事故が起きたあとの手続きに絞って、連絡先・期限・必要書類を順に整理します。
ここで紹介する具体的な条件は、エポスカードの公式サイトと、同カードの旅行傷害保険の普通保険約款・特約集に記載されている内容です。手続きの流れはカード会社ごとに異なるため、お手持ちのカードの条件はそれぞれの公式情報でご確認ください。

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まず連絡するのはカード会社ではなく「事故受付センター」
ここでつまずく方がとても多いところです。海外旅行保険のトラブル対応は、カードの利用に関する一般の問い合わせ窓口とは別に、専用の受付窓口が用意されています。
エポスカードの場合、公式ページに記載されている連絡先はエポスカード海外旅行保険事故受付センター(0120-11-0101、24時間受付)です。日本国内からの問い合わせ用の番号で、海外からの問い合わせ先も別に案内されています。
また、保険を引き受けているのはカード会社ではなく損害保険会社です。エポスカードの公式ページには、エポスカード(Visa付)・エポスゴールドカードの引受保険会社が三井住友海上火災保険株式会社、エポスプラチナカードが損害保険ジャパン株式会社と明記されています。
・連絡先は「事故受付センター」。カードの一般問い合わせ窓口とは別
・保険を引き受けているのは損害保険会社
・出発前に、自分のカードの事故受付センターの番号を控えておく
期限は「事故の発生の日から30日以内」
ここが、この記事でいちばんお伝えしたい点です。
エポスカードの旅行傷害保険の普通保険約款・特約集を見ると、事故の通知について次のように定められています。基本条項の第18条(事故の通知)には、被保険者が傷害を被った場合として、こう書かれています。
傷害の原因となった事故の発生の日からその日を含めて30日以内に事故発生の状況および傷害の程度を当社に通知すること。
この30日以内という期限は、傷害だけの話ではありません。約款の各補償条項に、それぞれ同じ期限が置かれています。
| 補償の種類 | 該当条項 | 通知の期限 |
|---|---|---|
| 傷害(ケガ) | 基本条項 第18条 | 事故の発生の日からその日を含めて30日以内 |
| 賠償責任 | 賠償責任危険補償条項 第6条 | 事故の発生の日からその日を含めて30日以内 |
| 携行品損害 | 携行品損害補償条項 第6条 | 事故の発生の日からその日を含めて30日以内 |
| 救援者費用等 | 救援者費用等補償条項 第7条 | 該当した日からその日を含めて30日以内 |
約款には、正当な理由なくこの通知を怠った場合について「それによって当社が被った損害の額を差し引いて保険金を支払います」という規定もあります。帰国してから落ち着いて連絡しようと考えていると、期限に近づいてしまう可能性があります。旅先で何かあったら、その時点で連絡するのが確実です。

病院にかかるとき:キャッシュレス診療という選択肢
海外で医療機関を受診するとき、その場で全額を立て替えるのか、それとも保険会社が直接支払ってくれるのかは、大きな違いです。
エポスカードの公式のよくある質問(No.4288)には、次のように回答されています。
キャッシュレス診療(CMS)をご希望の場合は、事前にエポスカード海外旅行保険事故受付センターにご連絡いただき、保険の適用資格確認と提携病院の手配を行います。
緊急を要する場合など、キャッシュレス診療(CMS)を利用せずに病院を受診された場合は、一旦全額お立替えいただき、帰国後に保険金をご請求いただくこととなります。
つまり、キャッシュレス診療を使うには、受診の前に事故受付センターへ連絡する必要があるということです。連絡なしに自分で病院へ行った場合は、いったん全額を自己負担することになります。
また、同じくエポスカードの公式ページのQ&Aには「緊急医療アシスタンスサービスの費用が保険金額を超える場合はどうなりますか?」という質問に対し「現地で超過分をご負担いただきます。ご負担いただけない場合にはサービスを受けられません」という回答が掲載されています。保険金額を超える分は自己負担という点は押さえておきましょう。
キャッシュレス診療に対応しているかどうか、また利用の手順は、カード会社と引受保険会社によって異なります。ここに書いたのはエポスカードの公式情報です。お手持ちのカードの対応状況は、発行会社の公式ページや付帯保険のしおりでご確認ください。
必要書類は事故の種類で変わる
エポスカードの公式のよくある質問(No.4289)には、必要書類が事故の種類別に整理されています。
すべてに共通するもの
- 保険金請求書
- 出入国日が確認できる書類
- カードの利用条件を充たしたご利用明細
3つ目に注目してください。利用付帯の保険では、保険を有効にする条件を満たしたカード利用の明細が請求時に求められます。旅行前に空港までの交通費をカードで払っておく、といった手続きが実際に効いてくるのはこの場面です。詳しくは利用付帯の海外旅行保険を有効にする方法で扱っています。
治療費用を請求する場合
- 治療状況申告書兼同意書
- 治療費・薬剤費・交通費の領収書原本
- 医師の診断書(公式には「治療費請求額30万円以下の場合は省略をすることができます」と記載)
領収書は原本が求められます。海外の医療機関で受け取った書類は、旅行中に紛失しないようまとめて保管しておきましょう。
携行品損害を請求する場合
- 事故内容報告書
- 損害品の写真
- 損害品の購入時証明書
- (破損の場合)修理見積書または修理領収書、修理不能の場合は修理不能証明書
- (盗難の場合)現地の警察への事故届出証明書等
盗難の場合は現地の警察への届出証明書が必要になります。約款の側でも、携行品損害保険金の請求に必要な書類として「警察署またはこれに代わるべき第三者の事故証明書」が挙げられています。盗難に遭ったらまず警察へ届け出てください。携行品損害の対象範囲についてはホテルで盗難に遭ったら?携行品損害はどこまで対象かで詳しく整理しています。
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帰国後に体調を崩した場合はどうなるか
旅行中は元気だったのに、帰国してから発熱した、というケースもあります。エポスカードの公式のよくある質問(No.4290)には、次のように回答されています。
疾病(病気)の場合は、保険期間終了後72時間以内に日本国内で初めて医師の診察を受けた場合に限り、初診日から180日以内の治療費をご請求いただけます。
保険期間終了後72時間以内の受診という条件が付いています。帰国後に体調がすぐれない場合は、様子を見るより早めに受診しておくほうが選択肢を残せます。
請求してから支払われるまで
約款の基本条項 第20条(保険金の支払時期)には、次のように定められています。
当社は、請求完了日からその日を含めて30日以内に、当社が保険金を支払うために必要な次の事項の確認を終え、保険金を支払います。
ここでいう確認には、事故の原因や発生状況、保険金が支払われない事由に該当しないかどうか、損害の額や傷害の程度といった項目が含まれます。特別な調査が必要な場合は期間が延びることもあると約款に定められています。
請求権の時効は3年
約款の基本条項 第23条(時効)には「保険金請求権は、第19条(保険金の請求)(1)に定める時の翌日から起算して3年を経過した場合は、時効によって消滅します」と記載されています。
30日以内の通知とは別に、請求権そのものにも3年という期限があるということです。書類の準備に時間がかかっている場合でも、放置しないようにしましょう。
・事故の通知は事故の発生の日からその日を含めて30日以内
・キャッシュレス診療を使うなら受診前に事故受付センターへ連絡
・領収書は原本。盗難は現地警察の届出証明書が要る
・帰国後の発症は保険期間終了後72時間以内の受診が条件
・保険金請求権の時効は3年
対象外になりやすいケース
請求しても支払われない場合があります。エポスカードの公式のよくある質問から、代表的なものを挙げます。
| ケース | 公式の回答 |
|---|---|
| 持病の悪化(No.4286) | 出発前に発症していた病気や、その持病に起因する症状の治療費は対象外。現地で新たに発症した病気や偶然な事故によるケガの治療費は補償される |
| 歯科治療(No.4283) | 虫歯や歯周病などの歯科疾病の治療は原則として対象外。転倒などの外来からの不慮の事故で歯が折れた場合は傷害治療費用として請求が可能 |
| レンタカーの事故(No.4287) | 自身が所有・使用・管理する車両に起因する事故による損害賠償責任は対象外。車両の損害や対人・対物賠償は現地で別途加入した任意保険で対応する必要がある |
レンタカーを運転する予定があるなら、この点は事前に確認しておく価値があります。カード付帯保険だけでは足りない場面を把握しておくと、追加の備えを判断しやすくなります。付帯保険の内容比較はクレジットカードの付帯保険を徹底比較をご覧ください。

出発前にやっておくこと
手続きをスムーズに進めるために、旅行前の準備でできることがあります。
- 事故受付センターの電話番号をスマートフォンに登録しておく(あわせて紙にも控える)
- 付帯保険のしおりの該当ページをダウンロードしておく
- 利用付帯のカードなら、条件を満たすカード利用を済ませておく
- 高価な持ち物は、購入時のレシートや保証書の写真を撮っておく
- 留学やビザ申請で必要な場合は、付保証明書の発行を申し込んでおく
付保証明書について、エポスカードの公式ページには「ご出発2週間前までに下記お問合わせ先へご連絡ください」と記載されています。必要になる可能性があるなら、早めに手配しておきましょう。
よくある質問
Q1. 事故のあと、いつまでに連絡すればよいですか?
エポスカードの旅行傷害保険の約款では、事故の発生の日からその日を含めて30日以内と定められています。傷害、賠償責任、携行品損害、救援者費用等のいずれについても同じ期限が置かれています。
Q2. 連絡先はカード会社の一般窓口でよいですか?
保険専用の窓口が用意されています。エポスカードの場合はエポスカード海外旅行保険事故受付センター(0120-11-0101、24時間受付)が案内されており、海外からの問い合わせ先も別に用意されています。
Q3. 帰国後に請求することはできますか?
できます。エポスカードの公式ページのQ&Aでも「帰国後の請求でも可能です」と回答されています。ただし「事故証明書や医師の診断書(金額による)を現地で入手する必要があるため、帰国前に必要書類の確認が必要になります」という注記があります。書類は現地で集めておく必要があります。
Q4. 診断書は常に必要ですか?
エポスカードの公式のよくある質問には、治療費用の請求に必要な書類として医師の診断書が挙げられたうえで「治療費請求額30万円以下の場合は省略をすることができます」と注記されています。金額によって扱いが変わるため、事故受付センターに確認するのが確実です。
Q5. 保険金はいつ振り込まれますか?
約款の基本条項 第20条には「請求完了日からその日を含めて30日以内に」必要な事項の確認を終えて支払うと定められています。特別な調査が必要な場合は期間が延びることがあります。
Q6. 請求を忘れていました。まだ間に合いますか?
約款の基本条項 第23条では、保険金請求権は請求できる時の翌日から起算して3年を経過すると時効によって消滅すると定められています。ただし事故の通知には30日以内という別の期限があるため、気づいた時点ですぐに事故受付センターへご連絡ください。
まとめ
海外旅行保険の請求手続きについて、公式情報と約款をもとに整理しました。
・連絡先は保険の事故受付センター。カードの一般窓口ではない
・事故の通知期限は事故の発生の日からその日を含めて30日以内
・キャッシュレス診療は受診前の連絡が前提。連絡なしなら全額立替
・領収書は原本、盗難は現地警察の届出証明書
・請求権の時効は3年
旅先でトラブルに遭うと、冷静な判断はなかなかできません。だからこそ、連絡先と期限だけでも出発前に頭に入れておく価値があります。自動付帯と利用付帯の違いについてはクレジットカードの海外旅行保険「自動付帯」と「利用付帯」の違いを徹底解説もあわせてご覧ください。
この記事の内容は記事執筆時点でエポスカードの公式サイトおよび約款に記載されていた内容です。条件は変更されることがあるため、以下の公式情報でご確認ください。
- エポスカード会員様向け海外旅行保険(エポスカード公式)
- 保険金請求に必要な書類を教えてください(エポスカード公式FAQ)
- 現地で病院を受診する場合、事前に連絡が必要ですか(エポスカード公式FAQ)
- クレジットカード用旅行傷害保険 普通保険約款・特約集(PDF/エポスカード公式)

※この記事の情報は執筆時点のものです。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。
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