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ホテルで盗難に遭ったら?クレジットカード保険の携行品損害はどこまで対象か

カードの基礎知識

海外のホテルで部屋に戻ったら、スーツケースが開けられていた。カフェで席を立った隙にバッグごと持っていかれた。旅先での盗難は、誰にとっても起こり得るトラブルです。

クレジットカードの海外旅行保険には「携行品損害」という補償が付いていることが多く、こうした場面で頼りになります。ただし、補償の対象になるものと、はっきり対象外とされているものがあります。財布ごと盗まれた場合、中身のすべてが戻ってくるわけではありません。

この記事では、携行品損害の対象範囲を、エポスカードの公式サイトと旅行傷害保険の普通保険約款・特約集をもとに整理します。条件はカード会社と引受保険会社によって異なるため、お手持ちのカードについては発行会社の公式情報をご確認ください。

注意

盗難に遭ったら、まず現地の警察へ届け出てください。保険金の請求には現地の警察の届出証明書が必要になります。届出をしていないと、請求そのものが難しくなります。

ナビ助
ナビ助
盗難に気づいたら、まず警察へ。これが手続きのスタート地点だペン!ここを飛ばすと後がしんどいよ!

最優先は警察への届出

なぜ警察が最優先なのか。理由は請求書類にあります。

エポスカードの公式のよくある質問(No.4289)では、携行品損害を請求する際の必要書類として、盗難の場合は「現地の警察への事故届出証明書等」が挙げられています。

約款の側でも同じです。基本条項の保険金請求に関する規定では、携行品損害保険金の請求に必要な書類として「警察署またはこれに代わるべき第三者の事故証明書」が定められています。

この証明書は、日本に帰ってから取得することができません。現地で盗難に遭った時点で警察に届け出て、証明書を受け取っておく必要があります。ホテル内での盗難であれば、ホテルのフロントに相談すると届出の手続きを案内してもらえることが多いです。

対象になるのは「旅行中に携行している身の回り品」

まず、何が保険の対象になるのかを確認します。エポスカードの旅行傷害保険の約款では、携行品損害補償条項の第3条(保険の対象およびその範囲)で次のように定められています。

保険の対象は、被保険者が旅行行程中に携行する次のいずれかの身の回り品に限ります。
① 被保険者が所有する物
② 旅行行程開始前に被保険者がその旅行のために他人から無償で借りた物

自分の持ち物だけでなく、旅行のために無償で借りたものも対象に含まれます。友人から借りたカメラを旅行に持っていったようなケースが該当します。

対象外とされているもの

ここが読者のみなさんがいちばん知りたい部分でしょう。同じ約款の第3条(3)には、保険の対象に含まれないものが列挙されています。

対象外とされているもの ただし書き
通貨、小切手、株券、手形その他の有価証券、印紙、切手その他これらに準ずる物 乗車券等は保険の対象に含まれる
預金証書または貯金証書(通帳およびキャッシュカードを含む)、クレジットカード、運転免許証その他これらに準ずる物 旅券(パスポート)は保険の対象に含まれる
稿本、設計書、図案、帳簿その他これらに準ずる物
船舶(ヨット、モーターボート、水上バイク、ボートおよびカヌーを含む)、自動車等およびこれらの付属品
約款の別表に掲げる運動等を行っている間の、その運動等のための用具
義歯、義肢、コンタクトレンズその他これらに準ずる物
動物および植物
商品・製品等、業務の目的のみに使用される設備・什器等
データ、ソフトウェアまたはプログラム等の無体物

注目すべきは最初の2行です。現金(通貨)とクレジットカードは、いずれも保険の対象外とされています。エポスカードの公式のよくある質問(No.4285)でも「盗難は携行品損害の補償対象ですが、現金、クレジットカード、有価証券は補償品目の対象外です」と明確に回答されています。

一方で、ただし書きにも意味があります。乗車券等とパスポートは対象に含まれると定められています。海外で航空券やパスポートを盗まれたときに、再取得の費用が補償されるのは大きな救いです。

ナビ助
ナビ助
財布を盗られても、中の現金は戻ってこないんだペン!だから海外では現金を分散して持つのが基本なんだよね。

置き忘れ・紛失は対象外

ここが最も誤解されやすい部分です。約款の携行品損害補償条項 第2条(保険金を支払わない場合)には、支払われない事由が列挙されており、そのなかに次の項目があります。

保険の対象の置き忘れまたは紛失

エポスカードの公式のよくある質問(No.4285)でも「置き忘れや紛失による損害も対象外となります」と明記されています。

盗難と置き忘れの違い

言葉の印象は近くても、保険の扱いはまったく違います。

状況 扱い
ホテルの部屋に侵入されて持ち去られた 盗難として扱われる
席を離れた隙にバッグを持ち去られた 盗難として扱われる
カフェの椅子にカメラを置いたまま店を出て、戻ったらなくなっていた 置き忘れに該当する可能性がある
どこで落としたか分からない 紛失に該当する可能性がある

「どこかでなくした」という状況は、保険の対象になりません。第三者が持ち去ったことを示す事実と、警察への届出があってはじめて盗難として扱われます。この違いを知らずに「保険があるから大丈夫」と考えていると、請求の段階で困ることになります。

ホテルの部屋での盗難は対象になるのか

約款には、少し読み間違えやすい規定があります。携行品損害補償条項 第3条(2)です。

(1)の身の回り品が被保険者が滞在する居住施設内にある間は、保険の対象に含まれません。

これを読んで「ホテルは対象外なのでは」と不安になるかもしれませんが、同じ条文の注記に「居住施設内」の定義が置かれています。

(注1)居住施設内
居住施設が一戸建住宅の場合はその住宅の敷地内、集合住宅の場合は被保険者が居住している戸室内をいいます。

つまり、ここでいう居住施設とは自宅(住まい)を指しています。旅行中に滞在するホテルは、この定義に当てはまりません。旅行行程中に携行している身の回り品であれば、ホテルでの盗難も携行品損害の枠組みで扱われることになります。

注意

実際に保険金が支払われるかどうかは、事故の状況と約款・特約の規定にもとづいて個別に判断されます。ここでの説明は約款の条文の読み方を示したもので、支払いを保証するものではありません。判断に迷う場合は、事故受付センターにご相談ください。

いくら支払われるのか

自己負担額(免責金額)がある

エポスカードの公式ページに掲載されている携行品損害の保険金額は、いずれも免責3,000円という条件が付いています。免責金額とは、約款の言葉を借りれば「支払保険金の計算にあたって損害額から差し引く金額」であり、被保険者の自己負担となります。

カード 携行品損害の保険金額(1旅行・保険期間中の限度額) 免責金額
エポスカード(Visa付) 20万円 3,000円
エポスゴールドカード 50万円 3,000円
エポスプラチナカード 100万円 3,000円

たとえば損害額が5万円と認定された場合、支払われるのは免責金額を差し引いた4万7,000円という計算になります。小さな損害では、免責金額を下回って支払いがゼロになることもあります。

1点あたりの上限もある

限度額とは別に、品目ごとの上限が定められています。エポスカードの公式ページには「携行品1つあたり10万円程度、乗車券等は合計5万円程度」と注記されています。

約款の携行品損害補償条項 第4条(8)では、次のように定められています。

保険の対象の1個、1組または1対について損害額が10万円を超える場合は、当社は、そのものの損害額を10万円とみなします。ただし、保険の対象が乗車券等である場合において、保険の対象の損害額の合計額が5万円を超えるときは、当社は、そのものの損害額を5万円とみなします。

高価なカメラやノートパソコンを盗まれても、1点あたり10万円が上限ということです。限度額が50万円のカードを持っていても、20万円のカメラ1台の損害が全額補償されるわけではありません。

パスポートの場合は再取得費用

約款の第4条(7)には、保険の対象が旅券(パスポート)の場合の扱いが定められています。損害額とされるのは、旅券の再取得費用または渡航書の取得費用で、具体的には事故の生じた地から旅券発給地へ赴く交通費、領事官に納付した発給手数料および電信料、旅券発給地での宿泊施設の客室料が挙げられています。1回の事故について5万円を限度とされています。

損害額の考え方

約款の第4条(1)では「当社が保険金を支払うべき損害額は、保険価額によって定めます」とされています。保険価額とは「保険の対象に損害が生じた地および時における保険の対象の価額」です。

また、修理できる場合については「保険の対象を損害発生直前の状態に復するに必要な修繕費をもって損害額とし、価値の下落(格落損)は損害額に含みません」と定められています。買ったときの値段ではなく、盗まれた時点での価値が基準になるということです。

ポイント

・現金、クレジットカード、有価証券は対象外。乗車券等とパスポートは対象
・置き忘れ・紛失は対象外。盗難とは扱いが違う
・免責3,000円は自己負担
・1点(1個・1組・1対)あたり10万円が上限、乗車券等は合計5万円が上限
・損害額は購入時の価格ではなく、損害が生じた時点の価額で決まる

盗難以外でも支払われない場合がある

約款の第2条には、置き忘れ・紛失のほかにも支払われない事由が定められています。旅行中に起こりやすいものを抜き出します。

  • 保険の対象の自然の消耗、性質によるさび、かび、変色その他類似の事由、ねずみ食い、虫食い等
  • 保険の対象のすり傷、かき傷または塗料のはがれ等、単なる外観上の損傷であって保険の対象の機能に支障をきたさない損害
  • 偶然な外来の事故に直接起因しない保険の対象の電気的事故または機械的事故(これらの事由によって発生した火災による損害は除く)
  • 保険契約者または被保険者の故意または重大な過失

スーツケースの表面に付いたすり傷は、機能に支障がなければ対象外です。また、スマートフォンが突然動かなくなったという電気的な故障も、外来の事故に起因しないものは対象になりません。

ナビ助
ナビ助
スーツケースの細かい傷は対象外になりやすいんだペン!「壊れて使えなくなった」かどうかがポイントだよ。

盗難に遭ったときの流れ

  1. その場の安全を確保し、盗まれたものを確認する
  2. 現地の警察に届け出て、事故届出証明書を受け取る(ホテル内ならフロントに相談する)
  3. クレジットカードが盗まれた場合は、カード会社に連絡して利用を止める
  4. 保険の事故受付センターに連絡する(事故の通知期限は事故の発生の日からその日を含めて30日以内)
  5. 損害品の写真、購入時の証明書、修理見積書など、必要書類をそろえる
  6. 帰国後、保険金請求書とあわせて提出する

3番目のカードの利用停止は、保険とは別の手続きです。手順はクレジットカード紛失時の届出手順で扱っています。保険金の請求手続き全般についてはクレジットカードの海外旅行保険はどう請求する?をご覧ください。

出発前にできる備え

  • 高価な持ち物は、購入時のレシートや保証書を写真に撮っておく(購入時証明書として使える)
  • 現金は1か所にまとめず分散して持つ(現金は補償の対象外のため)
  • カードは2枚に分けて別々の場所に入れる
  • パスポートのコピーを取り、原本とは別に保管する
  • 自分のカードの携行品損害の限度額と免責金額を確認しておく

1番目は特におすすめです。購入時証明書は請求書類として求められますが、旅先で盗まれてから探すのは現実的ではありません。付帯保険の補償内容の比較はクレジットカードの付帯保険を徹底比較で整理しています。

よくある質問

Q1. 財布ごと盗まれました。中の現金は補償されますか?

されません。エポスカードの公式のよくある質問には「現金、クレジットカード、有価証券は補償品目の対象外です」と明記されています。約款でも通貨や有価証券、クレジットカードは保険の対象に含まれないと定められています。財布そのもの(身の回り品)は対象になり得ます。

Q2. パスポートを盗まれた場合はどうなりますか?

約款では、旅券(パスポート)は保険の対象に含まれると定められています。損害額として認められるのは再取得費用等で、1回の事故について5万円を限度とされています。具体的には発給地へ赴く交通費、発給手数料および電信料、発給地での宿泊施設の客室料が挙げられています。

Q3. 置き忘れたものは補償されないのですか?

されません。約款の携行品損害補償条項 第2条には、保険金を支払わない事由として「保険の対象の置き忘れまたは紛失」が明記されています。エポスカードの公式のよくある質問でも「置き忘れや紛失による損害も対象外となります」と回答されています。

Q4. ホテルの部屋での盗難は対象になりますか?

約款には「居住施設内にある間は、保険の対象に含まれません」という規定がありますが、注記で居住施設内とは一戸建住宅の敷地内または集合住宅の居住している戸室内と定義されています。旅行中に滞在するホテルはこの定義に当てはまりません。ただし実際の支払いの可否は事故の状況と約款・特約にもとづいて判断されます。

Q5. 20万円のカメラを盗まれたら20万円もらえますか?

約款では、1個・1組・1対について損害額が10万円を超える場合、その損害額を10万円とみなすと定められています。さらに免責金額として3,000円が差し引かれます。また損害額は購入時の価格ではなく、損害が生じた地および時における価額(保険価額)で決まります。

Q6. 警察に届け出ないと請求できませんか?

盗難の場合、必要書類として現地の警察への事故届出証明書等が挙げられており、約款でも「警察署またはこれに代わるべき第三者の事故証明書」が請求書類として定められています。届出をしていないと、請求の手続きが進められない可能性が高くなります。盗難に気づいた時点で届け出てください。

まとめ

携行品損害の対象範囲について、公式情報と約款をもとに整理しました。

ポイント

・盗難に気づいたらまず現地の警察へ。届出証明書が請求に要る
・現金、クレジットカード、有価証券は対象外。乗車券等とパスポートは対象
・置き忘れ・紛失は対象外。盗難とは扱いが違う
・免責3,000円、1点あたり10万円、乗車券等は合計5万円という上限がある
・ホテルは約款でいう「居住施設」には当たらない

補償の範囲を知っておくと、旅先での持ち物の管理の仕方も変わります。現金を分散させる、レシートを撮っておくといった小さな準備が、いざというときに効いてきます。

この記事の内容は記事執筆時点でエポスカードの公式サイトおよび約款に記載されていた内容です。条件はカード会社によって異なり、また変更されることがあるため、以下の公式情報でご確認ください。

ナビ助
ナビ助
補償の範囲が分かってると、旅の持ち物の組み立て方まで変わってくるペン!準備の段階から役立てて!

※この記事の情報は執筆時点のものです。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。

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