ANAマイルを貯めるとき、フライトで直接貯める分よりも、クレジットカードのポイントを移行する分のほうが大きくなる方は少なくありません。ところがこの「移行」の部分は、レートだけでなくコース選択・手数料・所要日数・上限といった条件が絡み合っていて、思っていたほど単純ではありません。
同じANAカードでも、選んだ移行コースによって1ポイントが1マイルになるか2マイルになるかが変わります。しかもその2倍コースには、カードによって年6,600円(税込)の手数料がかかります。ここを知らずに「ANAカードなら還元率が高い」と思い込むと、計算が合わなくなります。
この記事では、ANA公式サイトと三井住友カード公式サイト、およびカード各社の公式サイトに記載された内容だけを使って、ポイントをANAマイルに移行するときの実務を整理します。数値はすべて記事執筆時点のものです。

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ANAマイルへの入り口は大きく2つある
クレジットカードからANAマイルへ向かうルートは、性質の違う2種類に分かれます。
ルート1:ANAカードを持ち、「ANAマイレージ移行可能ポイント」を移行する
ANAと提携したクレジットカードで貯まる専用ポイントを移行する方法です。コース選択があり、レートを上げられる代わりに手数料がかかる場合があります。
ルート2:ANAカード以外のカードのポイントを移行する
手持ちのカードのポイントをANAマイルに移す方法です。コース選択はなく、レートは固定です。
ANAカードの移行コースは3種類ある
三井住友カードが発行するANAカードの場合、公式サイトに移行コースと手数料の一覧が掲載されています。記事執筆時点の記載は次のとおりです。
| 対象カード | ANAマイレージ移行可能ポイント | Vポイント | 移行手数料 |
|---|---|---|---|
| プラチナプレミアムカード | 3倍コース(1ポイント=3マイル) | 5ポイント=3マイル | 無料 |
| ワイドゴールドカード | 2倍コース(1ポイント=2マイル) | 5ポイント=3マイル | 無料 |
| 一般カード・ワイドカード・学生カード | 2倍コース(1ポイント=2マイル) | 5ポイント=3マイル | 6,600円(税込)/年度ごと(4月1日〜翌年3月31日) |
| 一般カード・ワイドカード・学生カード | 通常コース(1ポイント=1マイル) | 5ポイント=3マイル | 無料 |
同じ公式サイトによると、ANAマイレージ移行可能ポイントはお買物利用200円(税込)につき1ポイント付与です。この2つを組み合わせると、通常コースは200円で1マイル、2倍コースは200円で2マイルということになります。
年6,600円の手数料はいくら使えば元が取れるのか
ここは実際に計算しておく価値があります。通常コースと2倍コースの差は、1ポイントあたり1マイルです。200円で1ポイントですから、年間利用額を200で割った数が、2倍コースにすることで増えるマイル数になります。
マイルの価値をどう見るかで答えは変わりますが、ここでは根拠のはっきりした基準を使います。ANA公式サイトの提携ポイント交換ページには、10,000マイルで10,000円分の楽天Edyやスターバックス カードへの入金に交換できると記載されています。つまり公式の交換メニューを使えば1マイル=1円分という換金ルートがあるので、これを目安にします。
手数料6,600円を1マイル=1円分で割ると6,600マイル。200円で1ポイント、1ポイントあたり1マイル増える計算なので、6,600ポイント分すなわち年間約132万円のカード利用が損益分岐点になります。これを超えて使う方なら2倍コースが有利に働き、下回るなら通常コースのままのほうが手元に残ります。
なお、貯めたマイルを特典航空券に使う場合の価値は1マイル=1円分を上回ることもあります。その場合は分岐点が下がりますが、路線や時期で大きく変動するため、ここでは断定せず公式交換レートに基づく目安として扱っています。
ちなみにワイドゴールドカードは2倍コースが無料です。三井住友カード公式サイトによると、ANA一般カードの年会費は初年度無料・2年目以降2,200円(税込)、ワイドカードは7,975円(税込)、ワイドゴールドカードは15,400円(税込)、学生カードは在学期間中無料です。一般カードで2倍コースを使うと年会費2,200円と手数料6,600円で合計8,800円になるため、ワイドゴールドカードとの差は6,600円ということになります。この差をどう見るかは、空港ラウンジや旅行保険といった付帯サービスをどれだけ使うかで決まります。

入会・継続でもらえるボーナスマイル
移行レートとは別に、ANAカードには入会時と毎年の継続時にボーナスマイルが付きます。三井住友カード公式サイトの記載は次のとおりです。
| 対象カード | 入会時ボーナスマイル | 毎年のカード継続時ボーナスマイル |
|---|---|---|
| 一般カード・学生カード | +1,000マイル | +1,000マイル |
| ワイドカード・ワイドゴールドカード | +2,000マイル | +2,000マイル |
| プラチナプレミアムカード | +10,000マイル | +10,000マイル |
ANAカード会員が混乱しやすい「2種類のポイント」
三井住友カード発行のANAカードでは、「ANAマイレージ移行可能ポイント」と「Vポイント」という2種類のポイントが別々に貯まります。公式サイトには、ログイン後のトップ画面に表示されるVポイントには、ANAマイレージ移行可能ポイントが含まれていないと明記されています。
ANAマイレージ移行可能ポイントは、Vpassの「照会・交換」から「ポイント残高履歴照会」または「ポイント有効期限照会」で確認する仕組みです。2種類のポイントは、それぞれ別に交換手続きが必要です。「マイルが思ったより少ない」と感じたときは、片方だけを見ている可能性を疑ってみてください。
また移行方法にも2つの方式があります。公式サイトによると、応募方式は獲得したVポイントやANAマイレージ移行可能ポイントを好きなときにANAマイルへ交換できるコース、自動移行方式は獲得したANAマイレージ移行可能ポイントを自動的にマイルへ移行できるコースです。Vポイントは自動移行方式の対象外で、別途応募方式での手続きが必要と案内されています。
ANAカード以外のポイントからANAマイルへ
ANAの公式サイトには、提携ポイントからANAマイルへの交換レートが一覧で掲載されています。クレジットカード関連の主なものを、記事執筆時点の記載どおりに抜き出します。
| ポイント | ANAマイルへの交換レート |
|---|---|
| セゾンカード(永久不滅ポイント) | 1ポイントごとに3マイル |
| UCカード(永久不滅ポイント/UCポイント) | 1ポイントごとに3マイル |
| ライフカード(サンクスポイント) | 1サンクスポイントごとに2.5マイル |
| ダイナースクラブ | 1ポイントごとに1マイル(利用金額100円ごとに1ポイント) |
| アメリカン・エキスプレス | 1ポイント(もしくは2ポイント)ごとに1マイル(利用金額100円ごとに1ポイント) |
| オリコ(オリコポイント) | 5オリコポイントごとに3マイル |
| ジャックス(ラブリィポイント) | 5ラブリィポイントごとに3マイル |
| JCBカード | 1ポイントごとに0.6マイル |
| アプラス | 1ポイントごとに0.6マイル(利用金額200円ごとに1ポイント) |
| エポスカード | 1エポスポイントごとに0.5マイル |
| 楽天ポイント | 2ポイントごとに1マイル |
| Vポイント | 500ポイントごとに250マイル |
| nanacoポイント | 500ポイントごとに250マイル |
| ENEOSカード | 1,000ポイントごとに400マイル |
| 出光カード(プラスポイント) | 2ポイントごとに1マイル |
| Marriott Bonvoy | 3ポイントごとに1マイル |
この表の「1ポイント」は、カードによって貯めるのに必要な金額が違います。ダイナースクラブとアメリカン・エキスプレスは100円で1ポイント、アプラスは200円で1ポイントと、ANA公式サイトが併記しています。レートの数字だけを横に並べても比較にはなりません。単位を揃えた比較はクレジットカードのポイント交換レートを比較した記事で扱っています。
単位・日数・上限は公式で確認する
レートが同じでも、実際の使い勝手は交換条件で変わります。オリコの公式サイトは条件を細かく公開しているため、具体例として引用します。
オリコポイント→ANAマイル(記事執筆時点)
・レート:1,000オリコポイント=600マイル
・単位:1,000オリコポイント以上、1,000オリコポイント単位
・費用:参加登録費・移行手数料無料
・移行上限:なし
・移行期間:1日〜15日の申込分を同月25日頃、16日〜末日の申込分を翌月10日頃に移行
オリコの公式サイトには、オリコポイントがカードショッピング100円につき1ポイント貯まると記載されています。100円で1ポイント、1,000ポイントで600マイルということは、1万円の利用で60マイルという計算になります。
クレディセゾンの場合は、交換サイト「STOREE SAISON」に永久不滅ポイント200ポイントでANA600マイルと掲載されており、ポイント交換手続き後3〜4週間ほどでマイル口座に反映されると案内されています。複数の永久不滅ポイント対象カードで交換する際、ANAマイレージクラブのお客様番号が同一の場合は期間を2週間以上あけて手続きするよう注意書きがあります。まとめて申し込もうとしてつまずきやすいところです。
また、オリコの公式サイトには「一度マイルへ移行した後は、オリコポイントに戻すことはできません」と明記されています。ANAマイレージクラブに未入会の場合は事前の入会が必要で、カード会社とANAマイレージクラブで会員名義が異なるとマイルへの移行ができないという注意も記載されています。

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終了・停止している移行先がある
提携先は入れ替わります。ANA公式サイトの提携ポイント一覧に、記事執筆時点で終了・停止として記載されていたものを挙げます。
- ワールドプレゼント(VJAグループ個人会員は1ポイントごとに0.5マイル、法人会員は1ポイントごとに2.5マイル)は、2026年3月31日をもって本サービスを終了と記載されています。
- ゆうちょ銀行 JP BANK カード(VISAカード/マスターカード。1ポイントごとに3マイル)も、2026年3月31日をもって本サービスを終了と記載されています。
- ハートワンポイントは2026年3月31日をもってサービス終了となり、マイル積算対象外になると記載されています。
- NTTグループカードは2025年6月30日をもってサービス終了、博多大丸カードは2025年8月31日をもってサービス終了と記載されています。
- ドットマネーとマネックス証券は、ポイントからマイルへの交換を一時停止していると記載されています。
さらに三井住友カードは、Vポイントから他社ポイント・マイレージへの移行サービスを2026年3月31日23時59分をもって終了したと案内しています。貯めてから交換先を探すのではなく、交換先を決めてから貯めるほうが安全です。

マイルから提携ポイントへ戻す場合の条件
逆方向、つまりANAマイルを提携ポイントに交換するルートにも制限があります。ANA公式サイトの記載によると、10,000マイルで10,000円分の楽天Edyやスターバックス カードへの入金、Vポイント10,000ポイント、nanacoポイント10,000ポイントなどに交換できます。楽天ポイントだけは10,000マイルで8,000ポイントと、条件が異なります。
あわせて次の注意書きが掲載されています。
- 2026年4月22日交換申請分より、特定の提携ポイントへの交換は合計で1日最大2口(20,000マイル)まで。
- 同一年度内(4月1日〜翌年3月31日)での交換口数の累計が2口までの場合と3口目の場合では、交換レートが変わる。
- 提携ポイントへの交換は会員本人のマイルが対象で、ANAカードファミリーマイルは利用できない。
よくある質問
Q1. ANAカードを持っていなくてもANAマイルは貯められますか?
貯められます。ANA公式サイトの提携ポイント一覧には、セゾンカード、JCBカード、オリコ、ジャックス、楽天ポイントなど多くのカード・ポイントが掲載されています。ANAマイレージクラブへの入会は必要ですが、入会費・年会費無料のANAマイレージクラブカードも用意されています。
Q2. 2倍コースの手数料は月割りになりますか?
三井住友カードの公式サイトには「6,600円(税込)/年度ごと(4月1日〜翌年3月31日)」と記載されています。年度単位の設定ですので、年度の後半に申し込む場合はその点も踏まえて判断してください。
Q3. 移行にどのくらい時間がかかりますか?
会社によってかなり違います。オリコは1日〜15日の申込分を同月25日頃、16日〜末日の申込分を翌月10日頃と公式サイトに記載しています。クレディセゾンは手続き後3〜4週間ほどでマイル口座に反映と案内しています。特典航空券の予約を狙うなら、この日数を逆算して早めに動いてください。
Q4. マイルの有効期限はどうなりますか?
移行元のポイントの有効期限とマイルの有効期限は別物です。ポイントの有効期限が近いからと慌てて移行すると、今度はマイルの期限に追われることになります。移行のタイミングは、使う予定から逆算して決めるのが現実的です。
Q5. 移行したマイルを元のポイントに戻せますか?
戻せません。オリコの公式サイトには「一度マイルへ移行した後は、オリコポイントに戻すことはできません」と明記されています。移行する量は、使う見込みのある分にとどめてください。
Q6. 家族のポイントをまとめてマイルにできますか?
ポイントの合算とマイルの合算は別の話です。ANA公式サイトには、提携ポイントへの交換は会員本人のマイルが対象で、ANAカードファミリーマイルは利用できないと記載されています。一方、クレディセゾンは永久不滅ポイントを100ポイント以上100ポイント単位で家族間で合算・移行できると案内しています。カード会社側でポイントを寄せてから移行する形になります。
まとめ
ANAマイルへの移行は、レート・手数料・単位・日数・上限の5点を公式サイトで確認してから動くのが確実です。とくに三井住友カード発行のANAカードは、コース選択と年6,600円の手数料という分岐があるため、自分の年間利用額と照らして選ぶ必要があります。
ANAマイルが貯まるカードそのものを比較したい方はANAマイルが貯まるクレジットカードを紹介した記事を、ANAカードのランク選びはANAカードを比較した記事をご覧ください。他社ポイントとのレート比較はポイント交換レートを単位を揃えて比較した記事で扱っています。
本文の数値は記事執筆時点の公式サイトの記載です。条件は改定されますので、手続き前にANAの提携ポイント交換ページ、三井住友カードのANAカード紹介ページ、オリコのANAマイル移行ページで最新の内容をご確認ください。
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